「梅雨」を「つゆ」って読むのはみんな知っていると思うんです。
ただ、「どういう意味でそう読むようになったのか?」と聞かれると、みんながみんな答えられないんじゃないでしょうか?
思えば「梅の雨」って実際考えられないし、そんなの降ってきたら怖いですよね。(梅干し屋さんは喜ぶでしょうけど)
「好きか」「嫌い」かで聞かれたら断然「嫌い」の方が選ばれると思いますけど、「梅雨」の時期にしか味わえない季節の香りみたいなものがあるはずですし、少しでも興味を持ってもらえるとまた「梅雨」への見方が変わるかも知れませんね。
梅雨という名前の由来とは?
もともと「梅雨(ばいゆ)」は中国から由来した言葉で、ジメジメとしてカビが出やすくなる時期を「黴雨(かびあめ=ばいう)」と呼んでいて、「五月雨」に含まれていた時期なんです。
「黴(カビ)の雨」
出だしから、もう飛ばし読みしたくなるような言葉ですけど、ネーミングがなかなか良いセンスをしてるなって思います。
だって、その通りのイメージじゃないですか?
今ではエアコン(空調)も整ってるし、住宅の性能も高くなっているから実感できないと思いますけど、江戸時代じゃ想像も出来ない湿度で憂鬱だったはずですよ。
「黴の雨」って嫌がられてもしょうがないですよね。
「五月雨」の時期の中でも、日本の一部の地域を除いた5月から7月にかけての最もジメジメした時期を特に「梅雨」と呼ぶようになったんです。
日本で言う「梅雨」はアジア圏の一部にもあって、韓国半島の南部では「장마(チャンマ)」って呼ばれているし、台湾にだってジメジメした長雨の時期があります。
「梅雨(ばいう)」と梅の字に変えられた由来は、江戸時代に偉い学者さんがいて、
「黴雨(ばいう)だと病気になりそうな名詞だから、何かいい呼び方はないかなぁ?」
って考えて、同じ音読みの「梅」という字をあてたんです。その江戸時代の難しい本にそう記されています。
ちょうど梅の実の実る頃だったし、古くから梅は薬としても使われていましたからね。
昔話に出てくるおばあさんが、こめかみのところに白いの貼ってましたよね、あれは絆創膏で梅を貼っていたんです。
頭痛に良く効いたそうです。
朝夕に梅干しを食べれば、医者はいらないって言われてたほどですから。
どの位樹齢を重ねても春を待たずに一番早く咲き、薫り高き香りを持っているとされている「梅」の字をあてるなんて、その学者さんは良いセンスしてますよね。(ただ単にその学者さん、梅が大好物だったかも知れませんけど…)
なぜ、「梅雨(ばいう)」を「つゆ」と呼ぶのか
それでは、どうして「梅雨(ばいう)」を「つゆ」と呼ぶようになったのか?
これは詳しく分かっていないのですが、
1、梅の実が熟して落ちて潰れる時期で、「潰れる」=「潰る」に言いづてに変わっていった。
2、梅の木の実だけじゃないと思いますけど、露がつきやすい時期で、誰となく「つゆ」とそう呼ぶようになった説もあります。(この説は大変ロマンチックで好きです)
梅の実の産毛がしっとり露で濡れているところを想像したら分かりますよね。
「見てごらん、細かい雨が梅の木の実に降って、まるで露のようだよ」
「ほんと、露のような雨ですわね。今の時期にしか味わえませんわ」
(そんな会話をしてたんじゃないんでしょうか?)
2の方が個人的には日本人らしい気がします。
その他気象用語の由来も解説!
日本には美しい言葉がたくさんありますよね。
「菜種露」(なたねつゆ)
これは菜の花の咲く頃に降る雨っていのが由来で、「梅雨」よりも先の3月中旬から4月位まで降る雨。「春の長雨」って呼ばれます。
秋黴雨/秋入梅(あきついり)
秋雨に入る合図の雨。こちらも「梅」の字が付けられているけど、「ついり」は「つゆいり」の逆の意味で使われるのが由来なんです。
秋霖(しゅうりん)
通称「秋雨(あきさめ)」。「梅雨」とは季節の違う長雨。冬に入る準備の雨の印象がありますね。秋、林の上に雨が静かに長々と降っている。いかにも霖(ながめ)ですよね。
比較的新しい雨の名前に「ゲリラ豪雨」が上げられますね。
「梅雨」名前の由来_まとめ
拙い文章で長々と綴りましたけど、最後まで付き合ってくれてありがとうございます。
あなたの中で、「梅雨」と梅の字があてられたこと、それが「つゆ」と呼ばれるようになったことが、少しでも役に立てたなら嬉しいです。
あぁ、それと「梅雨」の時期に美味しくなるお菓子があるって、知っていますか?
どうしても食べたくなるお菓子。
それは、カステラ。
カステラにコーヒーを添えていただけば、「梅雨」の季節を堪能できますよ。